ホーム > ご挨拶・メッセージ


市村 公一 プロフィール
1984年東京大学文学部卒業。銀行員を経て、2002年東海大学医学部卒業。東海大学病院研修医、日医総研研究員、東京大学先端科学技術研究センター特任講師などを経て、2005年より昭和大学医学部精神医学教室。2007年より昭和大学藤が丘病院精神神経科。2009年あおばメンタルクリニック開設。

病気は、誰しもかかりたくないもの。かりに病気になっても、1日も早く回復して病気をする前の自分に戻りたい。そう願わない人はいないでしょう。

でも、病気は、ひょっとすると神様が与えてくれた休暇かもしれません。「今日までよく頑張った。でも、ここで一息入れないと、身も心も、もうもたないよ」と。精神科の病気は、特にそうです。

病気は、また“寄り道”なのかもしれません。そんな寄り道などせずに順風満帆、何の障害もなしに駆け抜けていく人生の方が、楽でしあわせかもしれません。でも、本当にそうでしょうか。いえ、それはそれでいい人生でしょう。けれど、人生には寄り道しないと経験できないことも、たくさんあるのではないでしょうか。急ぎ足で表通りしか歩かない人には、路地裏に咲く可憐なタンポポが目に入らないように……。

もちろん、病気という名の寄り道は楽なものではありません。そこにあるのは苦しみであり、悩みであり、痛みであり、不安です。好んで味わいたいものではありません。でも、苦しんで、悩んで、不安におびえた人には、同じように苦しみ、悩み、おびえる人の気持ちもわかるでしょう。同じように悩める人を思いやる、優しい人になれるでしょう。路地裏のタンポポが、見る人の心をパッと明るくするように、寄り道が人生を深く豊かにしてくれることもあるはずです。

もっとも、そんな寄り道も、いつまでも出口が見えないのでは辛いばかり。また、ひとりで乗り切れる方もいらっしゃるでしょうけれど、信頼できる伴侶がいれば、その方がはるかに心強い。多くの病気、特に精神科の病気は、実は患者さんがご自身の力で自然に回復されるものです。医師や心理士にできるのは、適切な薬を処方したり、悩みを整理して解決のためのちょっとしたアドバイスを差し上げるなど、患者さんが自然に回復されるのをお手伝いするだけ。まさに寄り道の伴侶です。伴侶ですから相性もあります。なかには相性の合わない方もいらっしゃるかもしれませんが、おひとりでも多くの地域の皆様に信頼して戴ける“伴侶”になりたい。それが私たちの願いです。